数理統計学の基礎―よくわかる予測と確率変数

(20201115) 読了。

 

以前、新納先生のRクラスター分析本を読んで感銘を受けたのと、目次の項目がとても明晰であったため、数ある類書のなかから本書を選択。内容は期待通り。

 

 数学的な骨子の部分を明解に書き下している点が素晴らしい。コアとなる定理の証明は他書に委ねられる部分もあるが、そうすることで、全体の見通しが良くなり、骨子の論理構成が明確となっている。

 

こうした入門では「確率変数」の取り扱いに苦慮するが、定義や記号の用法にも配慮されているのがわかる。多くの本では確率変数と実際の値やパラメタを混同しているが、これらを明確に区別する努力が感じられる点も好感が持てた。

 

全体像を短時間でレビューする、もしくは、限られた時間での授業のテキストとして優れていると思う。

 

一方、裏返すと、理論的な追求や豊富な例題をこなすといった目的には別の本が必要になる。